2013.10.29更新
相続放棄
1 相続人が相続放棄をする場合、
相続放棄の申述書
を家庭裁判所に提出します。
そうすると、家庭裁判所より、『照会書』が送付されてきます。
2 その照会書に対する『回答書』を家庭裁判所に提出すると、
特に問題がなければ、
相続放棄申述受理通知書
が送付され、相続放棄の手続が完了したことになります。
3 今般、代理人として相続放棄をした事件で、上記「通知書」には
以下の注意書きがありました。
「受理証明書」が必要な場合は、別途受理証明申請をして
いただくことになりますので、手数料(申述人1人につき150
円の収入印紙)、認印及びこの通知書を持参の上、当家庭
裁判所に申請手続をして下さい。
なお、郵便による申請もできますので、その場合は、家庭裁
判所にお尋ね下さい。
4 また、別の相続放棄の事件において、別の家庭裁判所からの
照会書が届きましたが、『照会書』の内容は、前記のものとは
異なりました。
5 破産の手続でも同様ですが、家庭裁判所ごとに、相続放棄の
申述に関する『照会書』の照会事項は異なります。
6 不動産の相続登記で、相続放棄関係の書類を提出するとな
った場合は、 受理証明書 が必要です。
7 先日、破産管財事件において、3名の相続人のうち、2名が
相続放棄、1名が破産者、という事案で、相続放棄について
「通知書」しかなかったので、 「受理証明書」を取得しました。
2013.10.22更新
相続についての前哨戦[相続一般]
老親の状況により、相続の『前哨戦』が、生前に始まることがあります。
1 ケース1
① 遺言書が、何度か書かれていることがあります。
② このような場合、最終遺言の効力について、遺言無効の訴えが
起こされることがあります。
2 ケース2
① 単身生活をしている老親を呼び寄せたり、同居生活を開始した
りすることもあります。
② ①の場合には、親の死後、生前贈与の有無や、財産の使途不
明金等が、相続のいわゆる「前提問題」として発生することがあ
ります。
3 ケース3
① 老親に判断力がないと判断されると、同居していない子が、
成年後見の申立をすることもあります。
② ①の場合、専門家後見人が選任されることになります。
③ 財産目録、収支予定表の作成が必要となりますので、その
効果として、遺産が「ガラス張り」になり、その財産について
関係者の浪費の防止という副次的目的が期待されることも
あります。
実際に、私は、1、2、3と類似事例を扱ったことがあります。
2013.10.11更新
相続に関する、ある1週間の業務
1 遺留分減殺の法律相談
不動産について、①共有判決とその後、②共有物分割にまで
もつれた例(私の経験から)も参考に、説明をしました。
2 相手方(相続人)に、預金引出しのための必要書類(印鑑証明
書等)の送付の督促の電話
3 預金について、遺産分割で単独取得した分について、銀行に
対し、引出しのための必要書類の照会
4 遺産分割調停の申立書の起案
『東京方式』で起案するか、『大阪方式』で起案するかを検討
して、『大阪方式』で起案することにしました。
5 遺産分割調停の進行に関して、争点がいわゆる「前提問題」
であるので、地方裁判所への訴訟提起をされたい旨の連絡
を、家庭裁判所から受けました。
6 遺留分減殺事件(控訴事件)の控訴理由書を完成
7 特別縁故者への財産分与の申立書(約15ページ)を完成
8 相続放棄事件について、家庭裁判所から指示された書類
の取り付け
9 相続財産管理人となっている事件に関し、不動産売却の
権限外行為許可申請
2013.09.05更新
嫡出でない子の相続分[相続分]
1 嫡出でない子の相続分についての民法の規定が違憲であると
判断されました。
2 最高裁のホームページに、9月4日付の決定が、既に掲載され
ていました。
補足意見7ページを入れても20ページに及ぶ長文の決定です。
3 理由は法律論で、19ページに及んでおり、
① 意見の理由、結論「遅くとも平成13年7月当時において憲法
14条1項に違反していた」
② 本決定の先例としての「事実上」の拘束性(他の遺産分割へ
の影響)
で構成されています。
4 決定文を読んで、、憲法14条のところでは、受験時代に勉強を
した「憲法判断の仕組」のことを思い出しました。
5 ただ、興味を持ったのはむしろ、
先例としての事実上の拘束性
で、『傍論でない』と、補足意見が指摘していました。
憲法上の論点である
①付随的審査制 ②個別的効力説
に関連して説示されており、非常に興味深く、勉強になり、憲法
の本を久しぶりに読みたい誘惑にかられました。
6 5のような点から、憲法学者が、憲法14条違反の点より「先例と
しての事実上の拘束性」について、どのような評釈をされるか、
いまから楽しみです。
2013.08.31更新
預金口座の取引経過の開示(使途不明金)
1 死亡直前の被相続人の預金の管理状況が、問題になることが
あります。
2 この場合は被相続人の預金の取引経過の取寄せをします。
銀行、ゆうちょ銀行は、照会に対する取引経過の回答の速度には
それぞれ差がかなりあります。
3 口座を解約している場合は、照会に応じるべき義務があるか否か
問題があるところです。
4 ① 調停において使途不明金の主張がされた場合には、
まず、当事者の言い分を聴取して、預貯金を管理する相続人に
対し、預貯金払戻しの経緯とその使途をできるだけ速やかに開示
し、提出すべき資料を提出するようにします。
しかし、この問題に相当回数の期日を費やしても、合意が得られ
そうもない場合には、別途訴訟による解決に委ね、調停では、
現存する遺産のみを対象として先に進めるのが相当です。
② 被相続人の了解のもと預貯金が払い戻され、特定の相続人が
贈与を受けた場合は、特別受益の問題となります。
5 4は、「教科書的マニュアル」の答えですが、簡単に、訴訟による
解決に移行されない場合もあります。
2013.08.16更新
兄弟姉妹の遺留分と遺言[遺留分]
1 お盆の日に、現地調査のため、志摩市に出かけました。
2 帰りの車でテレビを見ていたところ、ある番組で、、
相続問題、とりわけ、遺留分について問題を、
会場参加者に 『はい/いいえ』 で答えてもらい、
弁護士が解説をする、
というコーナーがありました。
3 1問目は、妻と子2人がいて、夫(父)が死亡し、
「女の人に全ての財産を相続させる」
旨の遺言書が、夫のカバンから出てきた場合において、
妻と子2人は、全ての財産を渡す必要があるか、という問
題でした。
妻と子に2分の1の遺留分 があるので、『いいえ』が正し
いのですが、『はい』と答えた方もそれなりにいらっしゃい
ました。
のではなく、夫が「女の人」に渡してあったので「女の人」
の代理人弁護士か遺言執行者の弁護士から、遺言書の
写しが届く、というケースが多いかと思います。)
4 2問目は、妻(子はいない)、兄がいて、夫(弟)が死亡し
「全ての遺産を妻に相続させる」
旨の遺言書について、兄から、自分にも相続分があるから
遺産の一部を渡すように(怒って)請求をうけたが、渡す必
要があるか、という問題でした。
兄(または弟姉妹)は遺留分がない から渡す必要がない
ので、『いいえ』が正解ですが、今度は、1問目の解説の
後だったこともあり、『はい』の方も、やはりいらっしゃいま
した。
(このような遺言で「怒る」兄弟は、あまりいないと思います)
5(1) 遺留分(兄弟姉妹)に関する法律は、前記4のとおりで
すので、子がない場合には、妻(配偶者)のために遺言
を書いておくと、遺留分に関するトラブルは起きません。
(2) むしろ、遺言書がないと、4のケースでは、
不動産の処分 や 預金の引き出し
等の相続手続に、兄の協力が必要になってきます。
(3) 4のようなケースは、
遺言書を書くことを検討した方がよいケース
の典型例です。
2013.08.15更新
超過特別受益がある場合[寄与分]
1 自己の特別受益が具体的相続分を超えると、その特別受益者には
具体的相続分はありません。
よって、相続において、新しい財産を取得することはありません。
2 私も、何度か、具体的な相続分が「ゼロ」となった審判での代理人
や、相談をうけたことがあります。
3 この場合、自己の具体的相続分を超えた分を、他の相続人に
返還する必要はありません。
4 不足額は、他の共同相続人が負担します。
5 他の相続人の負担方法や金額の計算方法については、いくつか
の考え方があります。
2013.08.14更新
代償分割と支払能力
1 代償分割とは、一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を
取得させたうえ、他の相続人に対する債務を負担させる方法です。
財産としては、不動産(自宅)とか、株式(同族会社)などが考え
られます。
「特別の事情」があると認められるときに、共同相続人の1人また
は数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて、現物分割に
変える方法です。
2 代償分割が認められる「特別の事情」は、以下のような要件です。
① 現物分割が不可能であるか、
可能であっても分割によって著しく価値を減ずる場合
あるいは、
現物分割は可能であるが、遺産の内容や相続人の職
業その他の事情から相続人の一部の者に対し具体的
相続分を超えて遺産を取得させるのが合理的と認め
られる場合
であって、かつ
② 代償金支払債務を負担させられる者にその支払い能
力があること
3 そうすると、代償金の支払能力がない場合は、例えば自
宅であっても、取得することはできません。
4 代償金支払債務の支払能力があるか疑問に思われる事件
について、裁判所が代償金の支払の資力の立証を求めない
ケースがあります。
このような場合、代理人としては、裁判所は、特別受益、寄与
分等の争点について既に心証ができているとの推測が可能
になります。
5 遺産分割と同様、いわゆる「共有」の解消をする共有物分割
の「全面的価額賠償」や、遺留分分割の価額弁償でも、
「資力の証明」が問題になります。
2013.08.10更新
お盆休み [相続]
1 当事務所は例年どおり「お盆休み」「夏季休暇」はありません。
2 従って来週も平常どおり営業しております。
3 初盆における遺産分割に関する話し合いのためのご相談にも
即時対応できます。
2013.08.07更新
基礎知識としての相続[相続]
1 土曜日と月曜日に4件、新規のご相談がありました。
2 そのうちの3件は相続も関係しており、2件は相続に関する知識
(遺産分割の方法、相続に関係する不動産登記)を前提にして
次のステップの問題をどう解決するか、というご相談でした。
3 私も、相続自体がメイン(相続法)の事件は約20件くらいあります
が、相続問題の解決を前提に、次のステップを考えているという
ケースも10件以上あります。
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