2013.08.14更新
代償分割と支払能力
1 代償分割とは、一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を
取得させたうえ、他の相続人に対する債務を負担させる方法です。
財産としては、不動産(自宅)とか、株式(同族会社)などが考え
られます。
「特別の事情」があると認められるときに、共同相続人の1人また
は数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて、現物分割に
変える方法です。
2 代償分割が認められる「特別の事情」は、以下のような要件です。
① 現物分割が不可能であるか、
可能であっても分割によって著しく価値を減ずる場合
あるいは、
現物分割は可能であるが、遺産の内容や相続人の職
業その他の事情から相続人の一部の者に対し具体的
相続分を超えて遺産を取得させるのが合理的と認め
られる場合
であって、かつ
② 代償金支払債務を負担させられる者にその支払い能
力があること
3 そうすると、代償金の支払能力がない場合は、例えば自
宅であっても、取得することはできません。
4 代償金支払債務の支払能力があるか疑問に思われる事件
について、裁判所が代償金の支払の資力の立証を求めない
ケースがあります。
このような場合、代理人としては、裁判所は、特別受益、寄与
分等の争点について既に心証ができているとの推測が可能
になります。
5 遺産分割と同様、いわゆる「共有」の解消をする共有物分割
の「全面的価額賠償」や、遺留分分割の価額弁償でも、
「資力の証明」が問題になります。
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