2015.10.27更新
調停に代わる審判
1.先般、調停に代わる審判により、遺産分割事件が解決に至りました。
2.最新の判タ(1416号)に東京家庭裁判所における調停に代わる審判の活用に関する論文が掲載されていました。
相続に関する部分を要約すると、以下のとおりです。
(1)遺産分割事件、遺産に関する紛争調整事件及び遺留分減殺調停事件など、当事者多数の事案では、当事者全員が出席可能な期日を定めることが困難な場合もある(相続人が遠隔地に居住、高齢の相続人が期日に出席できない、等)。
実質的には当事者間で合意ができていると認められるにも関わらず、一部の当事者しか期日に出席できないために、期日において調停を成立させることができない、という事態を避けるため、調停に代わる審判によることで、早期の紛争解決(法律関係の安定)を図ることができる。
(2)家事審判法の下では、遺産分割事件において全員が期日に出席できない場合、調停条項案の書面による受諾(家審法21条の2)の方法が利用されてきた。家事事件手続法の施行で、家事調停事件全般につきこの方法が利用可能となった(家事法270条)。
しかし、調停条項案の書面による受諾の方法では、期日間に当事者が調停委員会から出された条項案を受諾する旨の書面を提出する必要があり、真意確認の為に受諾書面とともに印鑑証明の提出を求めることが多いことから、このような手続について必ずしも十分な知識の無い当事者において的確な対応ができず、結果として迅速な解決に支障が生じる恐れがあった。そのため、家事法施行後は、調停条項案の書面による受諾の方法ではなく、調停に代わる審判を行うことがほとんどとなっている。
(3)遺産分割事件において、相続人の中には遺産の取得に興味を全く示さない者がいることも少なくない。そのような相続人は、手続に全く応答せず、遺産分割の申立に対する賛否を明らかにしないまま、期日に欠席する傾向にある。このような場合、多数の相続人が同意している内容で調停に代わる審判をすることで、合理的で迅速な解決が図られる。
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