2019.01.30更新
修習生の検討課題についてのコメント
1 72期の司法修習生の弁護修習が始まっています。
当事務所以外に配属された修習生が、破産管財事件の勉強がしたいと希望しているとのことで、担当弁護士から依頼を受けて、1週間、出張弁護修習生として受け入れています。
2(1)読むべき記録として、参考となりそうな既済事件の記録を3件指定しました。
(2)まずは、現在受任中の破産管財案件において否認請求(破産手続開始前の弁済行為等の効力を否定して破産財団の回復を図るもの)の期日が入っているため、否認の訴えとの手続の相違点を確認してみました。
これについては、司法試験受験科目として倒産法を選択していたこともあってか理解していました。
(3)次に、破産管財人と相続財産管理人との訴訟上の地位の相違点について確認してみました。
これについては、「法定訴訟担当」と回答するのみであり、金銭請求訴訟における管轄(持参債務)の違いに気付くことができていませんでした。
(4)そして、特別代理人(本人の代理人が代理権を行使することが不適切な場合に選任される選任される)の案件についても課題を出していました。
特別代理人が選任される案件においては、本人に通知書等が未着であることが前提となりますが、通知書が本人に届いていることを前提に訴状の起案がなされていました。
3 馴染みのない案件の検討もあったかと思いますが、事実や手続の流れを「点」ではなく「線」で捉えることを身に付けてもらえたらと思います。
4 また、氏名(「薗」)や地名(「阪」)の誤りには、特に注意が必要です。
2019.01.30更新
修習生日記
1. 北薗先生の下で1月28日から2月1日の間研修をさせて頂いている72期司法修習生です。
北園先生からは,事前課題として,①訴状起案,②訴状以外に必要な民訴法,家裁提出用の書類を起案するように指示を受けました。
添付された資料を検討した結果,訴状以外に,特別代理人選任申立書(民事訴訟法35条)と相続財産管理人の権限外行為許可申立書(民法953条・28条前段)が必要であると判断しました。
2. 訴状起案については,導入修習で説明を受けた記憶が朧げながらありましたが,特別代理人選任申立書記案や相続財産管理人の権限外行為許可申立書記案については不勉強のため知識がほぼない状況から取り組むことになりました。
自宅にあるコンメンタールや実務書を参照し,提出期限までに一応の形にして起案をしました。
3. 提出した起案について北園先生に確認をして頂いたところ,ほぼ全てのページにミスがあることが分かりました。そこで,28日は起案を全面的に書き直すことにしました。また,同日松坂支部で開かれた期日の期日報告書も起案することになりました。
詳細は省きますが,書き直す際には,可処分時間の範囲内でコンメンタールや実務書で裏取りをし,当該文言を記載する必要があるのか,その記載の程度で足るのかを強く意識して起案をしました。期日報告書を起案する際には,期日でのやり取りの記憶を喚起して分かりやすい言葉で起案することを意識しました。
翌29日に起案を再提出した際にも,ミスはありましたが,最初に提出した起案よりはまともな起案をすることが出来たと思っています。
ただし,証拠から認定できる事実を間違えるという致命的なミスであったので,同じミスはしないように心がけます。また,管轄を選択する際には,多角的な視点から検討をする必要があることも記憶に留めておきます。
4. また,29日は,民事執行法・保全法に関する課題について検討をしました。判決で請求が認められても,当該権利を実現することが出来なければ絵に描いた餅であり,依頼者を納得させることは出来ないため,民事保全手続→民事判決手続→民事執行手続の一連の流れを確認しました。
5. 2日間で,実務家として書面を作成する意識に良い変化が生じました。実務家として恥ずかしくない書面を作成できるように精進して行きます。今後ともご指導ご鞭撻よろしくお願い申し上げます。
2019.01.09更新
最近の相続
1 遺言執行者
(1)遺言執行者とは、相続開始後に遺言の内容(不動産の相続登記手続や預貯金の払戻等)を実現する権限を有する者です。遺言作成者が遺言時に遺言執行者(ないし遺言執行者を指定する人)を指定するほか、家庭裁判所が選任することで、遺言の内容を実現する権限を有します。
(2)現在、遺言時に依頼者が遺言執行者に指定されていた案件(①)で相続が開始しているほか、別の案件(②)において家庭裁判所から遺言執行者に選任されています。
(3)①の案件では、相続人でもある依頼者が遺言執行者の指定を受けており、当職は遺言執行者の補助者として関与しています。
この「補助者としての関与」という点については、現行の民法では、遺言執行者はやむを得ない事由がなければ第三者にその任務を行わせることができない、とされていることが関係しています。
もっとも、今回の相続法改正において、遺言執行者が第三者にその任務を行わせることができる(「復任権」)ことになりました。
この改正は、遺言において必ずしも十分な法律の知識を有しない相続人等が遺言執行者に指定されることが多いことや、遺言執行者の職務の範囲が広範で、難しい法律問題を含む場合も少なくないことから、適切に遺言の内容を実現するという遺言執行者の任務遂行が単独では困難な場合があり得ること(法律知識を有する第三者への復任が必要であること)を立法趣旨としています。
(4)②の案件は、遺言の内容が、「相続させる遺言」(改正法における「特定財産承継遺言」。特定の財産を特定の相続人に承継させるという内容。)か、遺贈(相続人以外の者への承継させるとの内容)か、の判断を要しました。この判断は、不動産登記手続において、権利証(登記済証ないし登記識別情報)が必要か否かに関わります。
2 相続財産管理人
(1)相続財産管理人とは、相続人がいない場合(相続人全員が放棄した場合も含む)に、相続財産の適切な管理のために家庭裁判所によって選任される者です。
(2)相続財産管理人が選任される案件として、大きく次の3つが挙げられます。
①多重債務型(被相続人が多重債務を負い、相続人全員が相続放棄をした場合)
②特別縁故型(法定相続人ではないが被相続人と内縁関係にあった者や被相続人を献身的に介護していた者などへの遺産分与手続を要する場合)
③国庫帰属型(遺産を最終的に国に帰属させる手続を要する場合)
(3)昨年は、①②③の全ての場合での相続財産管理人案件を受任しました。
③国庫帰属型の案件では、財務事務所との打合せを要しました。
①多重債務型の案件では、債権者らへの配当弁済を行うにあたり、破産法のいわゆる「別除権」的債権者(遺産に属する特定の財産から、他の債権者に優先して弁済を受けることができる債権者)の債権額をどう扱うべきかについて検討を要しました。
(4)また別の案件では、相続財産を、相続財産の破産管財人に引き渡すことで、相続財産管理人の任務を終了したというものもありました。多重債務型ですが、配当するにあたり、債権の認否に困難を来したため(認否の手続が整っている破産手続で認否を行うことが適切と判断したため)です。
3 遺産分割
(1)遺産分割の案件では、「特別受益」や「寄与分」など、相続人間の公平が問題となることが多く、当職が近時受任した相続案件でもこれらは問題になっています。
(2)それに加えて、①被相続人の財産からの支出の「使途不明金」や、②被相続人作成の遺言に対する遺言無効(調停、訴え)が問題となる案件も受任しています。
(3)また、遺産分割調停の案件では、相手方が不出頭のため、調停に代わる審判も検討しました。
(4)その他、法定相続分での遺産の換金・分配をしたいという遺産整理の相談や、遺留分放棄許可申立(被相続人の生存中に、あらかじめ「遺留分(一定の相続人に留保された財産)」を放棄するため、家庭裁判所の許可を得る申立)の案件もありました。
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