相続ブログ

2014.05.05更新

予納金

1.破産管財人や相続財産管理人の選任の申立をする場合、
 報酬等の費用に充てるための予納金の納付が求められます。

2.A地区での破産管財人の選任申立の場合、法人と法人の
 代表者の破産管財人について、合わせて20万円の予納金
 の納付で選任申立が可能です。ところが、相続財産管財人
 の選任申立の場合には、100万円の予納金の納付が求め
 られます。

3.一方B地区では、同じく法人と法人の代表者の破産管財人
 の選任申立について、基本として合計で90万円の予納金
 の納付が求められます。もっともこの予納金は事案によって
 は30万円程度まで減額が可能です。また、相続財産管理人
 の場合は、20万円の予納金の納付で選任申立が可能な
 場合もあります。

4.現在、法人の代表者のみが破産手続開始の申立てを行い、
 法人は破産手続開始の申立てをしていなかった事件で、
 債権者から不動産(法人及びその代表者で共有)の任意
 売却が求められたため、破産管財人選任の申立を、予納金
 「0円」でしてもらいました。
  不動産の任意売却が出来るので、どうにか破産管財人の
 報酬は確保できそうです。

5.一方、相続財産管理人選任申立の事件も予納金「0円」
 で引き受けました。しかし、今のところ不動産が売却できる
 見込みが立っておらず、相続財産管理人が管理する預金
 口座は1万以下と官報掲載費にも充たない状態です。

6.その他2件、相続財産管理人選任を予納金「0円」で申
  立てたものがありますが、その2件は既に財団が200
  万円以上あります。

2014.04.21更新

本人確認

1.成年後見人に選任される案件として、被後見人の配偶者が
 既に死亡しており、その遺残分割協議が未了であるというもの
 がよくあります。

2(1)現在当職が成年後見人に選任されている事件の内2件が、
 上記1のような案件です。
(2)その内の1件ではこれまでに、被後見人が遺産を全て取得して、
 他の相続人に対し代償金を分割で支払うという遺産分割協議が
 成立しておりましたが、本日はその代償金の支払のために、
 郵便局へ被後見人名義の貯金口座の解約手続に行きました。

3(1)ゆうちょ銀行の貯金口座の解約は、代理人でも可能です。
   そのため、成年後見人である私が直接窓口へ行く必要は
 なかったのですが、別件の相続財産管理人に選任されている
 事件で、被相続人が契約していた投資信託につき、相続財産
 管理人名義の口座に契約を移行する必要があったので、合わ
 せて手続に行きました。
(2)被相続人の投資信託契約については、被相続人名義の口
 座を解約し、相続財産管理人名義の口座を開設して、被相続
 人名義の信託契約を移行します。その際、金融機関は、相続
 財産管理人に対して、金商法上の説明義務(元本割れリスク等)
 があるというので、私が直接窓口へ行く必要がありました。
(3)被相続人名義の信託契約については、本人として解約手続
 を行ってきました。
  

2014.03.14更新

レジュメの修正

1.勤務弁護士が、相続財産管理人に選任された事件に関して、
相続債権者への説明のレジュメを作成しました。
  そこで、そのレジュメを確認して、修正しました。

2.今後の自分の執務の参考になるので、書式例のファイルに
綴りました。

3.ついでに、以前のレジュメについても整理して、ファイルの
目次を追加しました。
  私が以前(6年前)に作成したレジュメで、2年前に他の
 弁護士に修正して頂いたものがありました。今回あらためて
 そのレジュメの整理もしました。

4.書式例のファイルには、相続財産管理人選任の申立を
 検討している人に対して、私を候補者にするよう誘引する
 ためのレジュメもありました。

5.上記の2年前に修正して頂いたレジュメを、現在調査中
 の事案に即して修正をし、再度その弁護士にチェックして
 頂く予定です。

2014.02.08更新

相続財産の払戻し

1(1) 被相続人の預金債権は、相続により、法定相続分に応じて、
      各相続人が分割債権を取得します(相続人が子3人のみの場合、
      各人3分の1の預金債権を取得します)。
    そのため、各相続人が、法定相続分に応じた預金債権の払戻
       しを、金融機関に対して請求できることになります。
 (2) しかし、相続人の1人から、金融機関に対して、法定相続分に
       応じた払戻しに応じないように連絡があった場合、他の相続人が
       払戻し請求をしても、金融機関がそれに応じないことがあります。

2(1) そうすると、払戻しに応じてもらえなかった相続人は、金融機関
      に対して、預金債権払戻請求の訴訟を提起することになります。
   この時、金融機関に対して払戻しに応じないように連絡した相続
    人は、金融機関側に「補助参加」することができます。
(2) 「補助参加」とは、当事者(原告・被告)以外の、その訴訟の結果
    に利害関係のある者が、自分の利益を守るために、当事者の一方
    を「補助」して、その訴訟に参加することです(当事者に準ずる立場
    になります)。
(3) また、金融機関から、他の相続人に対して、補助参加することが
    できることを告知することもできます(「訴訟告知」といいます)。この
    告知を受けた者は、参加しなかったとしても、参加したのと同じ扱い
    を受ける(判決の効力を受ける)ことがあります。

3(1) 遺言書があっても、その遺言の対象に預金債権が含まれるか
      に問題がある場合、預金払戻請求訴訟がなされることがあります
      が、この場合にも他の相続人を補助参加させるのが一般的です。
   大阪高裁平成25年9月5日(判時2204号39頁)でも、払戻請
     求をした相続人以外の相続人が補助参加していました。
(2) この高裁判決は、「財産を全てまかせる」と書かれた遺言は、①
    相続財産の全てを遺贈したということ(包括遺贈)なのか、②中心
    となって遺産分割手続きをして欲しいということなのか、が争われ
    た、 遺言の解釈の問題です。
(3) 第一審では、②の意味だと判示しましたが、上記高裁判決は、
    ①の意味だと判示しており、下級審での判断が分かれている状
   況 です。

2014.02.07更新

遺言作成者の増加

1.法曹関係者のブログで引用されていた、1月28日の静岡新聞に、
 静岡県内での遺言作成者が、ここ数年で急増しているという記事
 が掲載されていました。
  急増の背景には、「終活ブーム」や、東日本大震災後に「自分も
 いつどうなるかわからない」という心理が働いたことがあるのでは
 ないか、と書かれていました。

2.また、同記事には、
『公正証書遺言は資産評価額に応じて手数料がかかるものの、
法的拘束力が強いため活用が多い』
とも書かれていました。
 「法的拘束力が強いため」という表現は、誤解を招くおそれが
あると思います。

3(1)遺言の方式には、
    ①自筆証書遺言
    ②公正証書遺言
    ③秘密証書遺言
   の3種類があります。
 (2)いずれも、有効であれば、その「法的拘束力の強さ」は同じ
  です。
 (3)遺言書は、法律で有効であるための要件が定められてい
  ます。
  ア ①自筆証書遺言の場合、全文・日付・氏名を遺言者が自
     分で書くことが要件です。
    そのため、日付の記載がない、本人が書いた文字ではな
    い等、無効を主張されることが多いのです。
    ③秘密証書遺言も、法律で有効であるための作成方式が
     細かく定められていますので、無効となる場合が多くなり
    ます(③として無効な場合、①として有効かが問題になりま
    す)。
  イ また、有効な①自筆証書遺言と③秘密証書遺言でも、さら
   に家庭裁判所の「検認」というチェックを受けなければいけま
   せん。
  ウ これに対して、②公正証書遺言は、公証人(法務大臣から
   任命された公務員)が、法定の有効要件を満たしていること
   を確認して作成されます。
    また、公証人は、遺言者の「判断能力」もチェックしています。
    そのため、無効だと争われることは、ほとんどありません。
    なお、③公正証書遺言には、上記の「検認」は不要です。
  エ さらに、③公正証書遺言では、遺言執行者(遺言の内容に
   基づき相続手続きをする者)が必要な場合であれば遺言で
   指定しておくなど、遺言の執行すなわち円滑な相続手続の
   ことも考慮されます(遺言書で指定がない場合、家庭裁判所
   へ選任を申立てる必要性も出てきます)。

 (4)したがって、公正証書遺言は、法的拘束力が他より強いの
  ではなく、無効だと争われる可能性(もしくは無効である可能性)
  が他より低く、かつ遺言執行が適確・迅速になされる可能性が
  高いということなのです。

4 遺言書の作成には、信託銀行は関与する例がある他、士業では
 弁護士以外に行政書士や司法書士、税理士が関与しています。
  円滑な相続手続のために作成する遺言ですが、せっかく作成して
 も、①遺留分減殺請求、②遺言無効、③遺言の効力の範囲の争い、
 等問題が生じることも決して少なくありません。
  弁護士は、他士業と異なり、相続で生じ得るこれらのさまざまな問
 題への対応を、交渉や訴訟の代理人として多く経験しています。
  そのため、問題を避ける遺言書、あるいは問題となり得ることを踏
 まえて対策を講じた遺言書を作成するには、弁護士のアドバイスを
 受けることが最も適切です。

5 遺言書に関して、当事務所の「相続ガイド」のページにより詳しく
 記載しております。ご参考に、是非ご覧ください。

2014.02.01更新

賃貸住宅(相続税)

1.相続税対策で、賃貸住宅を建てた方からの法律相談
 が増えているようです。
  日経新聞にも、関連する記事が載っていました。

2.私も、最近、相続税対策に関連した、不動産に関する
 法律相談を何件か受けました。

3.賃貸住宅を建てることによる相続税対策とは、
  ① 更地に建物を建てることで、土地の相続税評価額
   を下げ、
  ② 賃貸住宅建築資金を借り入れることで、評価額
   から差し引ける負債額を増やす
 という方法で、課税価格計算の基礎となる相続財産の
 価格を下げることだと思われます。

4.しかし、この方法は、
  ① 借入金返済の負担があること
  ② 家賃による借入金返済は、家賃収入に左右される
   リスクを負うこと(空室リスク・修繕費の負担等)
  ③ 相続税が金銭で納税できない場合、売却の必要
   があるが、更地の時よりも売却が難しくなること
  ④ 相続税の物納は許可が必要であり要件を満たす
   必要があること(売却の見込み等)
  等、大きなリスクを伴います。

5.相続税対策をお考えの方は、メリットのみでなく、デメ
 リットについても十分調査し、適切なアドバイスを得る
 ことが大切です。

2014.01.22更新

再転相続

1.今月に入り、再転相続が発生している遺産分割の案件について
 2件の家庭裁判所の調停が成立しました。

2.1件は、昭和の時代に相続が発生し、その後当事者間で断絶的に
 話合いがなされていましたが、結着がつかなかった案件で、当事務
 所が受任して解決に至ったものです。

3.いずれも再転相続は一回しか発生しておらず「相続人Aの相続
 人B」のみで、「相続人Aの相続人Bの相続人C」はいませんでし
 たが、私は2回再転相続が起きている例も何回か担当したことが
 あります。

2014.01.15更新

初めての遺産分割調停

1.勤務弁護士にとって、初めての遺産分割の調停が成立しました。
  そこで、調停の条項の作成にあたり、いろいろ勉強するように
 指示しました。
(1)当事者の表示について
 ① 相続分の譲渡により当事者を整理した場合の、当事者の
  表示の作成方法
 ② 2人以上を代理していた代理人弁護士の対処の方法

(2)各調停条項について
 ① 相続人関係の確認条項
   相続登記申請の際の戸籍謄本等必要書類との関係
 ② a 開始後の遺産収益に関する紛争が解決したとの条項
    を入れる意味
     遺産収益(相続開始後の配当金)は遺産と別個の共同
    相続人間の共有財産であるが(最一小判H17・9・8民集
    59・7・1931)、当事者全員が遺産分割の対象とする合意
    をした場合、遺産分割の対象とできる。
     遺産収益に関する紛争の解決条項を入れることで、
   一回的解決を図ることができる。
   b 家庭裁判所の運用としてのいわゆる折衷説の勉強
 ③ 代償分割の記載方法
 ④ 代償分割ができる条件
  ア)「特段の事由」
    共同相続人間に代償支払の方法によることについて、
   概ね争いがない場合
  イ)要件
    代償金の支払能力があることについての調査、あてはめ

2 これらについて、遺産分割における法的意味を理解して確認
 するように指示しました。

3 1つの事件を掘り下げて、その周辺を含めて調査・勉強する
 ことで、他への応用も可能になるので、私は、疑問に思ったこと
 はなるべく広げてその周辺まで調べるようにしています。

4 1に記載したことは、私としては、全て理解しているか、どの
 論文を読めばわかるかを把握しています。
  勤務弁護士にとっては、一からの調査であり、一からの勉強
 となりました。
   

2014.01.11更新

遺言が必要な場合(同居家族による介護)

1 高齢の親と同居し、長年介護をしてきた子やその配偶者が、親の
 死後、当然に、その親所有であったその家に住み続けられないと
 いうことが少なくない、という記事が、日経新聞に掲載されていま
 した(平成26年1月8日「女性と老後」)。

2 家の所有者が亡親(被相続人A)であり、同居の子(X)以外にも
 相続人(Y、Z)がいるとします。
(1)その家以外に、分割する財産(預貯金や他の不動産等)が十分
 にない場合、その家を売却して現金をY,Zに分けたり、Y、Zの相
 続分に相当する現金をXが負担したりせざるを得なくなります(「代
 償分割」といい、「代償金」を支払う方法で家を単独で相続するこ
 とになります)。

(2)その場合、Xは、遺産分割協議において、自分や配偶者(B)が
 長年Aを介護してきたことを、「寄与分」として主張することが考え
 られます。
   寄与分とは、被相続人の『財産の増加や維持』に『特別の寄
 与』をした「相続人」に、法定相続分よりも多くの財産を取得させ
 て、相続人間の公平を図るものです。
   BはAの相続人ではないので、Bによる介護もXの寄与分と
 して主張することになります。

(3)もっとも、
 ① 介護のような「療養看護型」の寄与分は、民法上の扶養義
  務を超えた特別の貢献(親子関係に基いて通常期待される
  範囲を超えたもの)でなければならず、認められる基準は厳し
  いものです。
 ② また、Y、Zから、Xが同居することで得た利益(生前に特別
  に受けた利益「特別受益」)を差し引くよう主張されることもあり
  ます(相続分の前渡しとみて、分割前の相続財産に加算する
  「持戻し」の主張)。
 (なおこの点は、Aが「持戻し免除」をしておくことや、Aの介護上
  同居が必要でやむなく同居したのであるから得た利益が少な
  いと主張することが考えられます。)

(4)このような事態を避ける方法として、「代償金」の支払にあて
 るために、Xを受取人とする生命保険を掛けておくことや、BをA
 の養子にすることが考えられますが、最も多く採られる方法は、
 Xに家を単独相続させるという内容の遺言を作成することです。

3 日経の記事はこれらの問題を指摘し、対策として上記の方法
 を挙げていますが、特に遺言の作成については、Y、Zからの
 遺留分減殺請求(遺言の内容にかかわらず、相続人に一定割
 合の財産の相続を保障する制度)に配慮する必要があります。

4 遺言作成は、ご自身でも可能ですし、信託銀行等でも相談を
 受け付けています。
  ただ、弁護士は、相続人の代理人として多くの紛争に対応し
 た経験がありますので、弁護士であれば、Y、Zから遺留分減
 殺請求がなされる可能性をなるべく抑える「付言事項」を遺言
 に記載する等、工夫した助言をすることが可能です。
  信託銀行は、遺留分減殺請求があった場合、遺言執行をし
 てくれないのが一般です。

2014.01.07更新

文献整理[限定承認]

1 「限定承認」の手続について、これまでに読んだ本と別の視点で
 書かれている文献を読みました。
  それぞれコピーをとり、「相続放棄」「限定承認」の文献を整理し
 てあるファイルに綴じました。

2 同時に、このファイルに綴じてあった古い資料を廃棄し、資料の
 整理をしました。

3 ファイルの整理をしていたら、次のようなメモ(従前の事件処理用
 に作成したもの)を発見したので、再読しました。

 ① 限定承認の先買権についてのフローチャート
 ② 相続放棄をした相続人に対し、法定単純承認を前提に、相続債
  権者が承継執行文の交付を受けて差押えをした場合に、相続放
  棄をした相続人が右差押えを争う手続について

4 ①は、限定承認した相続人が先買権を行使する際の具体的方法
 (登記も含めて)、及び第三者への売却の場合の問題点(税金の問
 題も含めて)をまとめたものです。

5 ②は、承継執行文付与に対する異議について要件及び手続の流
 れをまとめたものです。

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