2016.01.12更新
死因贈与
1 死因贈与とは、被相続人が生前、相手方(受贈者)との間で、財産の贈与を合意すること(贈与契約)です。つまり、効力発生時を被相続人(贈与者)の死亡時とする贈与契約です。
2 死因贈与は、合意で成立するため、書面による必要はありません。そのため、被相続人が遺言書を作成することができないような身体的状態にある場合等に行われることがあります。
3(1)死因贈与の際、贈与の内容を執行する者を指定しておくこともできます。不動産を贈与する場合、遺言執行者を指定しておけば、相続人全員の協力を要することなく、受贈者への所有権移転登記手続をすることも可能です。
(2)相続人不存在のために家庭裁判所において私が相続財産管理人に選任された案件において、死因贈与執行者が指定された遺贈(遺産の一部の特定遺贈)がなされていたことがありました。死因贈与執行者(遺言執行者)と相続財産管理人の権限が競合する場面ですが、裁判所に相談しつつ案件を処理しました。
4 自筆証書遺言が、その成立要件を満たしていない場合には、当該書面が死因贈与を証する書面として有効ではないか、を検討すべきです。自筆証書遺言として無効であっても、その内容につき、死因贈与が有効に成立していると認められた事案を何度か担当したことがあります。
5 自筆証書遺言が有効でないからといって、直ちに、その内容が実現されないような遺産分割協議を行うのもやむを得ない、と判断しないことが重要です。
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